2010年2月26日金曜日

[POLOW DA DON]

ちょっとずつ書き溜めて参りましたがやっと完成。。。かな。
ではでは書記局初の長編物を。

予告通り、実は「今、一番外さないとされている男」Polow Da Donさんについてのコラム的な物を。



まず、彼の生い立ちなんですがWikipediaを見てもらうとして、


1999年にはPolowもメンバーとしてJim Crowというラップグループでメジャーデビューをしております。




当時から日本の専門誌でも評価の高いグループでしたし、一般的にはサウスアーティストのカテゴリーに入れられてしまうところなんですが、そのグループ名こそ悪法名高き「JIM CROW LAW」から取られているあたり既にこの時点で一筋縄ではいかない奴ら臭を醸し出していたのでしょう。

そんなグループも2001年のセカンドアルバムを最後に解散してしまいます。
そしてその頃からPolowは外部へのビート提供を始める訳なのですが、そのビートを今や最強レーベルの一角として業界で大きな発言権を持つ「Interscope」のCEO.ジミーアイオヴォーンに見初められ、彼はヒットプロデューサーとしてのレールを歩み始める事となります。

でいよいよ頭角を現し始めるのがまずは2004年、映画「Barbershop 2」のサントラ収録曲としてシングルもカットされた
「MYA/Fallen' (ZONE 4 REMIX) feat. Chingy」ですね。





当時としては元々The Pharcyde「Runnin'」使いでアクの強い原曲をどうRemixしてるんだと、そして時の人でもあったChingyをFeatするなど話題作りがちらつくトピック三昧ではありましたが、ふたを開けてみるとその重心の太いトラックにファンキーな上物とこちらの予想を大きく上回る傑作Remixでした。


そこからは破竹の快進撃Polow。自らのレーベル「ZONE4 Inc」をインタースコープ傘下に興し、2005年には





上記2作の傑作シングルを残しその勢いを2006年に繋ぎます。
LUDAの方は個人的にもここまで流麗なトラックを久方聞いてなかったので初めて聞いた時にはかなりヤられたのを思い出します。

そして2006年。






他にも「Ciara/Promise」


「Jamie Foxx/DJ Play A Love Song」


など、その圧倒的なまでにゴージャスでキラキラした音像をHIP HOPからR&Bまでのあらゆるアーティストにバラ撒きます。

そんな中でも


この曲に関してはシングルカットしてくれなければ使わせたくないという位のオーダーでアーティストに直談判するなどPolowのアーティスティックな一面が垣間みれるエピソードなども有。(余談ですが上記LUDA曲はNASが使いたいと言ったもののPolowのその条件が呑めず泣く泣く手放したんだとか。)

そして2007年には自らのレーベル「ZONE4 Inc」の第一弾アーティストRich Boyのデビュー、そしてデビューアルバムの総合プロデュースも見事勤め上げます。



中には自分もラップで参加しちゃったり↓



まぁいきなりシングルの1stヴァースを自分で歌うってのも凄いですが。。。
ちなみにこの曲のフックも恐らくPolowの歌声。実はこの人歌える人でもあります、隙なし。

実はこの曲で加勢しているもう一人、今をときめくKeri Hilson。彼女もまたZONE4のアーティストとしてPolowが温めているところでした。(後に彼女の契約に関してはTimbalandのレーベルとの共同提携と言う形になりますが)

以前何かのインタビューでKeriは「私の噂を聞きつけたPolowがスタジオに行く度につけてきたり、その場に何故か居たりして、彼の素性が分からない時はストーカーかと思った(笑)」という微笑ましいエピソードも。
それだけPolowも彼女の才能には早くから一目置いていたと言う事ですね。その彗眼もまた才能の一つ。

それとこの辺りで彼のProduce作品で聞けるシグネチャーサウンドの「1,2,3,4!!!」とか「Wait a Minutes Mxxxxxxx!」などの声ネタが定着してきました。これが入るだけでなんかもうすごい売れそうな曲に聞こえてしまう錯覚すらあります、ハイ。

個人的にはここまでがPolowのサウンド第一期という気がします。あくまで音的な面での話ですが。
というのもここまではあくまで従来のHIPHOP/R&Bの持つメロウ感だったりグルーヴ感だったりを踏襲しつつそれを自分色に留めて完成させる、そういうスタイルであったと思います。

しかし2008年以降のPolowの音は驚くほど様変わりします。

「Usher/Love In This Club feat. Young Jeezy」









というようなもはや「何系」と括る事が出来ないような楽曲の数々。そしてそれが生み出す謎のグルーヴ感。ここからが今のPolowに通ずるプロダクションであるんじゃないかと考えられます。
恐らくですがこの辺りから機材も変わっているのではないかと思います。あとドラム隊の打ち込み方がもう凄いですね。オリジナルすぎる。NKOTBの曲なんてヴァース以外は全部一分ずつキック入ってますから。上物もトランシーなシンセや浮遊感のある変な音色のエレピとかとか。。

なんというかサウンドを色で例えて言うと、黒と白が混じって「Polow Da Don」と言う感じの音像に聞いてとれます。
そしてそれが見事現行シーンの潮流に見事ズッポリハマったというのがやはり彼の持つ嗅覚の見事さだったり、変に型に捕われないトッププロデューサー気質の人間だったと言う事の裏付けにもなるでしょう。


それと、最初に彼を「今、一番外さないとされている男」と評したのには理由があり、彼が業界の実験を握るジミーに寵愛されている事で仕事の幅がグングン広がっていきます。そしてそのシングルカットされる割合の多い事も、そこに由来します。

「ジミーさんが言うんだから外さないよ、Polowは。」それがあっちの業界のもはや常識になっているんだと思います。

つまりスキルのあるトラックメーカー/プロデューサーというのはたくさんいるのですが、コネクションという面でも奇跡的なまでに幸運な立ち位置にいるのも今だこうしてTOPプロデューサーとして存在を見せつける事の出来る理由だと思います。

とはいえやはり彼の素晴らしいプロダクションありきなんですけどね。


というわけで結局はPolowoを通してみる業界とアーティストの縮図みたいな話にまとまってしまいましたが、今後も彼のクレジットを見たらまぁ8割方外さないであろうと思いますよ!

それでは最後にPolow作の最近作でもお気に入りの一曲。



よく分からないけど勢いはハンパないです、こうして聞くとやっぱりクロい音出しますね、この人。


By record Secretary B

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